はじめに
「また今日も怒ってしまった…」 夜、眠る前に自己嫌悪で胸が締め付けられるあなたへ。
【怒りは二次感情】
この言葉をお伝えしたいと思います。
「怒り」の仕組みを知り、本当の気持ちを伝えることで、
大切な人との関係をより良くしていきませんか?
【怒りは二次感情】
これは心理学者アルフレッド・アドラーの教えです。
怒りの奥には、不安や悲しみ、期待が裏切られた気持ちなど、
さまざまな感情が隠れていると言われています。
そのことを知るだけでも、自分を責める気持ちが少し軽くなるかもしれません。
はじめに
私が「この言葉」と出会ったのは、2年ほど前のことです。
子どもたちが小学生になり、少しずつ子育てに余裕が出てきた頃でした。
子どもたちがまだ幼かった頃、私は毎晩のように「また今日も怒ってしまった」と自分を責めていました。
子どもたちの寝顔を見ながら、「ごめんね」と涙を流す日も少なくありませんでした。
そんな私がある日出会った言葉――「怒りは二次感情」。
この言葉をもっと早く知っていれば、どれだけ助けられただろうと思ったのです。
怒りとどう向き合えばいいのか悩んでいる方へ。
怒りはあなたの本当の気持ち――悲しみ、不安、疲れ――が形を変えて現れたサインです。
まずはその奥にある「自分の声」に耳を傾けてみませんか?
怒りを否定する必要はありません。
それは、自分を守るための大切な感情なのだから。
怒りは二次感情、とは?
「怒り」という感情は、突然湧き上がるものではありません。
その奥には、もっと根本的な感情や思いが隠れています。
怒りはそれらの感情が表面化した「結果」なのです。
怒りの裏側にある感情とは?
怒りを深掘りしてみると、その背後には次のような感情が隠れていることがよくあります。
・悲しみや寂しさ
たとえば、自分の気持ちが理解されなかったり、傷つけられたときに感じる感情です。
「なんで分かってくれないの!」と怒るけれど、
実は「一人ぼっちみたいで寂しい」という気持ちが隠れている…
・不安や恐れ
たとえば、何かがうまくいかないのではないかと心配するときに感じる感情です。
「なんでちゃんとやらないの!」と怒るけれど、
実は「失敗したらどうしよう」という不安が根底にある…
・期待や失望
たとえば、相手や状況が自分の期待通りでなかったときに感じる感情です。
「なんで約束を守らないの!」と怒るけれど、
実は「信じていたのに」という失望が原因だったり…
このように、怒りは心の奥にある一次感情から生まれるものなのです。
この真理を知って
この言葉に出会い、実際に私自身が子育てで怒ってしまった場面を振り返ってみました。
すると、子どもが怪我をしてしまったときが圧倒的に多かったのです。
「危ないよと言っていたのに、ちゃんと止められなかった」「怪我のことがショック」「とても心配」――そうした感情が私の中に渦巻き、それが怒りとして表に出ていたのだと、後になって気づきました。
怪我をして悲しんでいる子どもに、さらに怒ってしまった自分を責め、自己嫌悪に陥ることもありました。
でも、
「そうか、私は心配だったんだ」と気づけたとき、
怒りを悪い感情だと無理に否定しなくてもいいのだと分かったのです。
それ以来、過去の自分を少しずつ受け入れることができるようになりました。
母も苦しんでいた
私の母も、怒りとの向き合い方に悩んでいました。
高齢になり、年々衰えていく祖母(母の母)に対して、つい厳しい言葉をかけてしまうことがあったのです。
「この前言ったでしょ!忘れちゃったの?」
「なんでこんなこともできないのよ!」
そんな言葉を祖母にぶつけたあと、母はいつも深く後悔し、悲しそうにしていました。
祖母のことを大切に思っているからこそ、母自身も苦しかったのだと思います。
そんな母に、私はそっと伝えました。
「怒りは二次感情なんだよ」と。
その言葉の意味を聞いた母は、しばらく黙った後で、「そうか」とつぶやきました。
そして、静かにこう言ったのです。
「昔はなんでもできる立派なお母さんだったんだよ」
母は続けて言いました。
「私の中では、まだそのイメージでいるのかもしれないね。だから、できないことが増えていくのが悲しくて、つい腹が立ってしまうのかも」と。
年老いていく祖母への寂しさや、かつての母親像とのギャップに、
母自身も苦しんでいたのだと気づかされました。
怒りはコントロールできる?
「怒りは二次感情」。
この言葉を知る前、私は怒りをコントロールしようと何度も試みました。
アンガーマネジメントについて書かれた記事を読み漁り、
「感情を伝える前に6秒数える」「その場から一旦離れる」「深呼吸をする」「甘いものを食べる」など、さまざまな方法を試しました。
でも、どれもうまくいかなかったのです。
それもそのはず。
怒りの感情が湧き上がるスピードは、想像以上に速いのです。
「6秒数える」「その場から離れる」といった対策を試そうと思う間もなく、感情の爆発の方がいつも先にきてしまいました。
手の届くところに置いておいたこんぺい糖の出番もなく、気づけばまた怒りをぶつけてしまった後。
そのたびに、「やってしまった…」と自己嫌悪に陥る日々でした。
私が決めたこと
怒りが二次感情だと分かったとき、私が心に決めたことがあります。
それは、一次感情を、後からでもしっかり伝えようということです。
もちろん、怒りをコントロールして怒らずに済むのが一番だと分かっています。
でも、それがとても難しいことも痛感しています。
だからこそ、せめて怒りの奥にある感情をしっかり伝えたいと思いました。
「怒ってしまってごめんね。さっきはとても心配だった」
「約束を守ってくれなくて、とても悲しかったんだ」
そんなふうに、心の奥の気持ちを言葉にして伝えることを大切にしたい。
ただ感情をぶつけて終わってしまうのは、本当に残念なことです。
きちんと気持ちを伝え合うことで、お互いに理解し合い、よりよい関係を築いていける。
私は今そう信じています。
おわりに
怒りが二次感情だということを知ることで、自分の本当の気持ちと向き合えるようになります。
その気持ちは、あなた自身が大切にすべき大事なサインです。
怒ってしまった自分を必要以上に責めるのではなく、
その奥にある一次感情に気づき、伝えることを意識してみてください。
たとえ怒った後でも大丈夫です。
子どもへ
親へ
パートナーへ
「怒ってごめんね、あのとき私はこう思っていたんだ」と伝えることで、
あなたの本当の気持ちが相手に届きます。
そして、その小さな積み重ねが、より良い関係を築く大きな一歩になるはずです。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
この記事が、少しでもあなたの心に響くものとなれば嬉しいです。